将棋好きの業者さん
怪我のあまりの激痛に、座っていることすら困難だったこの夏は、
結局、イベントのみならず、プロ棋戦のネット中継を
観戦することもままならなかった。
気付けばまたタイトルフォルダーが変わってる…
蛇足だが、免状の「会長」「名人」「竜王」の名前を
「米長」「羽生」「渡辺」にこだわりたくて猛勉強した私は
結果的にレアな免状を手にしたことになった…(涙)
「谷川」「佐藤」「木村」になったら、また猛勉強なのは間違いない。
さて。タイトルの「業者さん」だが。
片手の動かない私は、エアコンの掃除が出来ない。本格的に寒くなる前に
お掃除業者に依頼した。
弟Bにも立ち会ってもらった。
弟Bは指す将棋なら私より強いが、プロ棋戦には興味がないし
戦法などまるで知らない。
部屋の一番奥は突っ張りで仕切ってあって、小部屋みたいなスペースがある。
その机の前の壁に、数年前の将棋カレンダーの佐藤九段の写真を貼ってある。
盤に向かって真剣に考えてるふうなポーズなのだが。
エアコンお掃除業者がエアコンをチェックしようと、自前の脚立に乗ったとき
突っ張りの上部から佐藤九段が見えたらしい。
「あ、佐藤さん…」
ここ:弟B: ( ̄-  ̄?) ( ̄-  ̄?)
業者さん:「これ、佐藤九段ですよね? なんだか見つめられてるみたいだな」
ここ:( ̄□  ̄!!) 「あ、見えましたか?というか、よくご存知ですね?」
業者さん:「日曜日にNHKで将棋やってますよね、あれ、毎週観てるので♪」
なるほど。しかしいくら将棋ブームがきているからといって
佐藤九段の写真見て名前分かるとなると、相当好きじゃないですか、将棋?
聞けば縁台将棋はするけど、強い老人に負けてばかり。
この前初めて、千駄ヶ谷の将棋会館に行ってみたのだとか。
業者:「初心者なので、手堅く棒銀で攻めるんですが、どうですか?」
ここ:「居飛車党なんですね? 銀を使うなら棒銀が一番…
って、加藤一二三九段は仰ってましたよw」
業者:「はは、加藤九段のようにいけばですけどw 守りが分からないです」
ここ:「矢倉に組めたら安心ですよね。でも相手が振り飛車だと
矢倉にしてるスキを与えてくれなかったりで…左美濃か銀冠か…」
業者:「私はいつも高美濃に組んでます!」
ここ:「自分も振り飛車なら美濃でもいいんですけど…心もとないですね。
初心者なら穴熊にしとくと安心なんですけど」
業者:「穴熊?! もっと組ませてもらえないんじゃないですか?!」
ここ:「そうなんですよねー」
ここ:「縁台将棋でのんびり棒銀やってたら勝てないですよ。
ちゃんと戦法意識して戦いたいなら、千駄ヶ谷道場がお薦めです」
業者:「私は横浜在住ですが…」
ここ:「下手に品川とか行かないほうが良いです。覚える前につぶされます。
千駄ヶ谷が無難ですよ。強烈に強い子どもとか居ますから。
運が良ければ、プロ棋士が横から見てアドバイスくれます
(誰のことだ??! w)」
ここ:「お金はかかるけど、ビギナーズセミナーでは奨励会員が教えてくれます。
上手が駒を減らして一から教わる『駒落ち』で習いますが…
頼めば棒銀の戦い方だけ教わることもできますよ」
業者:「奨励会…って、やっぱり強いですか?」
ここ:「強い、強い!やっぱり素人の高段者でも奨励会には、なかなか…」
業者:「このあと現場空いてるから…行ってみようかな」
業者さんが女性なら、ビギナーズセミナーは「1,500円で通えるホストクラブ」
と呼ばれていることも教えたんだけどなあ。。
業者さんが仕事を終えて玄関の戸を閉めると、弟が開口一番
「将棋好きって、ただの好きのレベルじゃないよね!話題、ついていけなかった!」