棋士会フェスティバル2010 in 東京

台風直撃かとの予報もあったのですが、関東を一日早くすり抜けて行き、
快晴とはいかないまでも気温もすこーし上がっていました。


【プログラム】
・開会式
・読み筋公開ペア対局
トークショー「21世紀3大戦法 升田賞受賞者によるスペシャトーク
・局面指定2面指し対局
・抽選会


【出演棋士】(パンフレット順)
高田六段、深浦九段、藤井九段、中座七段、北島六段
金井五段、戸部六段、近藤六段、千葉六段、藤倉四段
山口初段、上田二段、甲斐女王・王位、高群三段、鈴木環初段、野田澤1級


【特別出演棋士】(パンフレット順)
佐藤九段、清水六段、森内九段


【さらに特別出演棋士】(同門出演 ←謎)
広瀬王位


読み筋公開ペア対局
振り駒の結果、
▲戸部六段&甲斐女王・王位
△金井五段&上田二段


この企画の話がきたとき、上田女流は戸部六段か金井五段か
どっちとペアを組みたいか佐藤九段に聞かれたそうです。
「金井くん」と答えたそうなんですが。
金井五段は、幼い頃よりお互いの将棋を知り尽くした関係だからと
思っていたご様子でしたが、上田二段から出た言葉は
「将棋のことは全然考えなくて」


え?!


金井五段の表情は明らかに動揺していましたw
「金井くんの方がイジりやすいかな、と思って。将棋のことも
 考えれば良かったw」
う、上田女流、いきなりイジってます。


戸部六段は「今日は甲斐さんの気持ちになって指します!」と
一瞬、株を上げたんですけれども。
対局が始まって、いきなり戸部六段の初手は1六歩。
「ふっ」
女流お二人から笑いが出ました。
甲斐女王・王位の気持ちで指すと、いきなり端歩ですか?w


ちなみに手順は
甲斐女王・王位→金井五段→戸部六段→上田二段。たぶん。


解説は深浦九段。聞き手清水六段。


この対局はただのペア将棋ではなく、途中、それぞれの手番で
2回止め、今の局面をどう読んでいるのか一人づつ公開してもらう。


まずは上田二段の手番でストップ。他の3人は耳栓をして
金井五段が読み筋を発表。そのあと上田二段が自分の指し手を発表。
全部で4回中、なんと3回まで、ペアの読みはピッタリ一致していました。
驚きですね!


でもー!w
最後の1回だけは全然違いましたw


最後はやはり上田二段の手番で止まったのですが。
金井五段が予想していた手のほかに、上田二段は強烈な勝負手を
候補に考えていました♪
これは対局ペアもまったく読んでいなかった手。


この一着で、今まで先手ペア優勢かと思われていたのが一気に逆転、
そのまま後手ペアが勝ち切りました。


この候補手は、発表したときにはまだ上田二段は指すかどうか悩んでました。
「ちょっとこわい」
しかし深浦九段がこの手に関心しきり。
観戦者としては、上田二段に是非その勝負手を放って欲しいと思いましたので
上田二段が行ったときには「やった!」という感じでした♪


のちに深浦九段から、MVPが与えられました♪



トークショー「21世紀3大戦法 升田賞受賞者によるスペシャトーク
壇上に上がったのは(席順)
藤井システム:藤井九段
中座飛車:中座七段
ゴキゲン中飛車:近藤六段


3人横一列で無表情に座ると、ただのおj(以下自粛
そこへ進行役の清水六段が「イケメン順にお話しをとのことですが♪」
「そんなこと台本に書いてないよ!」の
激しいツッコミが藤井九段から入りましたw


結局、ツッコミを入れた藤井九段から席順に、戦法の解説と誕生秘話が
語られました。
藤井システムは、ある日、夢の中に出てきたのだそうです。


というのは嘘でしたw
藤井九段曰く、藤井九段は一人で将棋を指すのが好きで(負けないからw)
居玉で遊んでいるうち、いけるんじゃないかと思ったのだそうです。
なんかこう書くと語弊がありそうですけど、でも藤井九段がそういう
ニュアンスで話されたんですからw


中座飛車は、もともとは受けの戦法として考案されたそうです。
今は横歩取りというと厳しくて難しい戦法らしいですね?


ゴキゲン中飛車も研究に研究を重ねて考案されたらしいですが、初めは
「テキトウな手」と言われたのだそうです。現に藤井九段もそう言ってたと。
どうして? 俺のキャラがいい加減っぽいから? の近藤六段の自虐発言に
藤井九段、中座七段、表情変えることなく「そうだよ」と肯定。


近藤六段が現代将棋をおもしろく表現されてました。
「戦法はあんまりたくさんの人に使われたくない。たとえるなら農場。
 せっかく育てて収穫という頃に、藤井畑あたりからどっと来るの、
 バッタみたいに。で散々荒らして、使えねぇとなると一斉に去っていくのね。
 だからまた一から植えていかなきゃいけない」


藤井九段「(藤井畑は)荒れ放題ですよ」


藤井システムはあくまで四間飛車の対穴熊戦法。それ以外には使わないで、
とのことでした。


誕生は藤井システム1996年、ゴキゲン中飛車97年、中座飛車1998年頃。
羽生七冠時代だそうです。
「あの頃はみんなのびのび指してたよねー。若かったし」


やっぱりおj(以下自粛



サイン会
サブ会場ではサイン会がありました。私はもう
佐藤九段に、本にサインしてもらう約束してましたから♪(ナニサマw


のんびり受付過ぎてからサイン会場に行ったら(汗
ものすごい人が列を作ってるのに、会場シーンとしてるんですね(汗
しゃべっちゃイケナイ雰囲気がむんむんとしてるんです(汗


本当は佐藤九段に
「揮毫書くときも、集中するものですか?」と聞いてみたかった…
だって一応「書」なわけだから。入魂というか?
一気書きしないと崩れるとか、そういうのあるのかなぁと思ってみたり。



局面指定2面指し対局
さて。大変なプログラムがトリを飾りました。
藤井九段 vs 深浦九段 局面指定2面指し。 


って! Σ( ̄□ ̄!! 意味分かんないし!


そうなんです。会場に行くまで意味分からなかったです。
会場に入ったら、8つの対局途中の図がありました。
1〜4までは▲藤井九段
5〜8までは▲深浦九段
「あなたはどの対局を見てみたいですか?」 って! Σ( ̄□ ̄!!

人気投票の結果上位2つを、藤井九段と深浦九段が同時に指します。
持ち時間各20分のチェス方式。
20分とは言いますが…どっちかを考えてるうちにもう一方の時間は消費します。


どうやらこの企画を考えたのも森内九段っぽい。昨年に引き続き…
棋士ならではの発想で、観戦している側は確かに「観たこと無!」くて
おもしろいですけど…
棋士的には、ものすごーく自虐的じゃないですか??
どうも将棋連盟の方々は自虐的な方が多い気がする…w


企画として成り立つのかどうか、森内九段と金井五段が挑戦してみたそうです。
このときは片方が早く終局したので、もう一局はじっくり指せたとのこと。
「でももし、両局とも秒読みで終盤に突入したら大変かも…」
心配そうな森内九段に、佐藤九段はあっさり「大丈夫ですよ!」。
佐藤九段って、ほんとプロには厳しいですよね。


チェスクロック」はよく見ますが、実は知りませんでした。
佐藤九段、
「1手指すと10秒加算されます。
 例えば20分の持ち時間のうち、5秒考えて指したとします。
 すると残りは?」
いきなりマイクを森内九段に。森内九段フリーズ。
佐藤九段の目がキっ。
森内九段、ボソッと「20分5秒…」
佐藤九段「という具合です」


このときです。。羽生さん含めた三人の上下関係が垣間見えた気がしたのは。
佐藤九段、長男ですね、間違いなく。


人気投票の結果、
一番人気は先手藤井九段の四間飛車に後手深浦九段の居飛車急戦。
この解説はメイン会場で佐藤九段、聞き手甲斐女王・王位。


二番人気、先手深浦九段の穴熊
こちらはサブ会場で解説森内九段、聞き手高群三段。


対局者は4階の対局室へ。


いやぁ…ほんと自虐的な企画でした…
選択肢の中には、最近の藤井vs深浦戦の途中図もあったんですよ。
あれが選ばれてたらどうなってたんでしょ。
ってw
実はあれになったらおもしろい、とか思ったのは私だけでしょうかw


さて♪ 謎の広瀬王位ですけれども♪
兄弟子の森内九段に無理やり呼ばれたとか、王位自ら進んで来られたとか、
前者で間違いないのでしょうけど、解説に参加してくださいました。
広瀬王位だけ2会場を往き来して解説しますから、喋りっぱなしです。
そしてプロには厳しい佐藤九段の、優しいんだか鬼なんだか
分からない発言によると
「いいんでしょうか、タイトルホルダーをこんなにこき使って、
 ギャラも出ないのに」


解説会場が二つに分かれたために、観戦者には、現在対局者は
どっちの将棋をメインに指してるとか時間をかけてるとか、
途中経過が分かりません。
ただ私が見ていた「▲藤井四間飛車 vs 居飛車急戦」は、どうやら
最初から藤井九段ペースだったようです。
深浦九段の指しまわしも魅力的だったのですが。


二局を終えて会場に戻ってきたお二人に簡単な感想戦をやって頂いたら、
深浦九段の美しい指し手のあとの微妙な崩れ方は、もう残り時間が
無かったんだそうです。
これには佐藤九段も驚いてました。
「使い慣れないチェスクロックだと、こういうこともありますね」


結果、二敗した深浦九段曰く「2面指しは大変」。
勝った藤井九段によると「そうでもない」。
なんて分かりやすい!!w


メイン会場では一瞬、解説に高田六段が登場しました。
佐藤九段と高田六段で検討しているあいだに…
甲斐女王・王位が消失していたんです!
高田六段が去ってみると、聞き手が居ない!
こんな不思議があっていいんでしょうかww


進行役の環那先生が「私しかプロ棋士居ないじゃーん♪」と壇上へ♪
「私、今日、台本に書いてあることしか喋ってなくてウズウズしてたんです」
佐藤九段「え?台本にないこと沢山しゃべってたじゃない」


その台本とやら、見せてみろww


ふらっと戻ってきた甲斐女王・王位。悪びれる様子もなく
「サブ会場の対局を見てきたんですけど… 穴熊が開いちゃって」…
アリなんでしょうか? 聞き手が途中で居なくなるというのは?w
女流には優しい佐藤九段なのでしたw



まとめ
楽しすぎて錯乱しかかってました。
将棋のことはちっとも書いてなくてスミマセンw


今回は200名ということでしたが、
こんなにも自虐的に将棋で苦しむプロ棋士の姿を生で見たい!という人は、
来年さらに増えるのではないでしょうか。
将棋会館は今から建て増しを検討したら良いかと思います(違


棋戦が本分と信じて疑わず育った棋士の皆さま、その棋戦の間隙を縫って
このような楽しいイベント企画をありがとうございました。
お疲れ様でした♪



蛇足
今回の女性客は
連盟レディースセミナー女子、Twitter将棋女子の2大勢力がありました。
特にTwitter将棋女子の盛り上がりはハンパなくw

イベントが終わり会館から出ようとしたときには、まるで足ふきマットが
レッドカーペットかのように出演棋士が総出で見送りをしてくださいました。


ぶっちゃけ、こわいよww


会社の同僚とレッドカーペットを渡りきったころ、背後から女性の悲鳴が!
振り返ると、Twitter将棋女子の某ですw
確か彼女は藤井九段のファンだったっけ?声でもかけて頂いたのでしょうか?
照れたように顔を覆いながら、猛ダッシュで会館から飛び出して来てました。
え?猛ダッシュ


…。 失礼しました。