【梅田望夫氏、第81期棋聖戦第1局リアルタイム観戦記】と北アルプスの将棋漬け

一昨年、梅田さんの【棋聖戦梅田望夫氏観戦記】を読み、そして
その感想をブログに書いてから、
http://d.hatena.ne.jp/shogi_green_summer/20080614/p1
少なくとも私のプライベートは80%くらい変化しました。


あの衝撃から2年。あのときの要領で梅田さんの観戦記の感想を
書いてみようと思います。



相変わらず、将棋に暗い者が勝手なことを書きますよ(笑)
本人のメモだということで、大目に見るかここで逃げるか、
あるいは忘れるかしてください。



長文になります。
あとプロフィールでもなぜ「北アルプスの少女」なのかを説明してますが
どうやっても「少女」に納得しかねる方々が猛反発されますのでw
今回のエントリータイトルに「少女」は入れませんでした。



■将棋とわたし・その後
2年前、まだ梅田さんのリアルタイム観戦記を読んだ時点では
自称「将棋嫌い」でした。今でも「好きか」どうか自分で分かりません。
しかし分かっていることは、2年前と同じ

「読む」のがいやなのです。頭がパンクしそうになるので。
頭の中で樹形図がどんどん伸びていきます。一手打つのに
たぶん自分じゃ覚えきれないほどのパターンを想像するでしょう。
だけど、絶対にそんなもんじゃ相手の駒は読めない。
そうすると自分の駒も決められない。 うぎゃー (`□´;)


ぷよぷよ」とか「大富豪」とか、ちょっと先を読んで仕掛けをする
ゲームというのは、実は好きとかいう以前に得意です。
しかし将棋の場合、その「読み」が半端ない。まさに頭がパンクする前に
やめちまえ!というところでしょうか。


2年前の梅田さんの観戦記に

佐藤棋聖と羽生挑戦者の感想戦は、2人にとってきっと至福の時間なのだろう。


傍で見ていて、私は本当にそう思った。


そこには勝者も敗者もおらず、科学者が真理を探究する姿だけがあったのだ。


とありました。これを読んだ私は「あの中に入ったら面白いんだろうな」と
思いました。 入れませんけどね!!



ところで「あの人は香車みたいだからなー」とかは、最近言わなくなりました。



■某棋士の影響
観戦記の感想を書いたことがきっかけで、某プロ棋士のブログに
出会いました。それが直接、私に長年の禁を破って(w)将棋を
習い始めさせることになりました。


棋士のブログは、自戦記もたまにありますが
半分近くは棋戦や将棋イベントの告知です。素人が行ってもいいのかな?
と思わせる表現でしたので、ルールも知らないくせに
大盤解説にのこのこ出掛けました。


当時…(汗)駒の動きを知っていればルールは分かってると思っていました。
なので…
大盤解説を聞いた私がいかに驚いたかは、将棋をちゃんとやったことが
ある人にはご理解頂けると思います。
なにしろ「詰めろ」の意味すら知らなかったのですから…


でも、この「大盤解説」が素人に向いている、ということを発見しました。
わけ分からないけど、面白い。なぜ面白いかというのは
のちほど、梅田さんの観戦記の感想のところで触れたいと思います。


面白いけど、さすがにわけ分からないままじゃぁ…と思い、連盟の
将棋塾へ通うことにしました。
どうして本などを使って自習で済ませようと思わなかったかは。
まさに。
大盤解説のように、疑問に思ったことは即座に誰かに聞きたい、と
思ったからです。


偶然とは恐ろしいものです。
棋士とは共通の友人が居ました。将棋とは無関係の飲み会で
リアル対面を果たすことに!


以来、将棋のことはすぐに某棋士に聞いてしまい、迷惑かけっぱなしです。
猛省して、最近は自粛。
将棋の話は抜きで、また飲みたいですね。



■梅田さん
基本的に梅田ファンです。変わってません。


この2年の間、リアルで2回お会いしました。
2回とも将棋に関係のある場所で。梅田さんの迷惑顧みず
お話しようと思えばできたかもしれません。
が、挨拶にとどまっています。


梅田さんには違うところで迷惑かけました(激汗)
3回目にリアルで会うことがあったら、まず謝罪から。。
いや、逃げたいw



■〜奥出雲より〜 梅田望夫氏、第81期棋聖戦第1局リアルタイム観戦記
ここからは一話ずつの感想メモ。


(1)相思相愛の羽生と深浦
このタイトルを考えたのは梅田さんご本人ですからー!
何がなんでも担当の腐女子が決めたと思っちゃだめですー!
というような内容を、ご担当のO女史がtwitterで訴えてましたw
「相思相愛」に反応した人は多いみたいです。
梅田さん、罪ですね☆

 将棋の世界で「81」は節目の数字である。「81」は盤の升目(9×9)の数。将棋界で初めて、棋聖戦が「盤寿(数え年の81歳)」を迎えた。


そうなんですってね。
昨年、80期棋聖就位式に参加した際、羽生棋聖が嬉しそうに挨拶されました。
「来年は81期。将棋で81は大切な意味を持つ数字。
 その期に対局者として出場できるのは嬉しい」と。

 前夜祭のあとも、米長会長、産経新聞社住田社長らと、伝統文化と最高頭脳の戦いという全く異質な要素が融合した「将棋という日本文化の素晴らしさ」について話がはずみ、その興奮冷めやらぬまま眠ったことに時差も加わり、数時間眠ったところで不覚にも覚醒してしまった。そして「さあ今日は何を書こうか」と考え始めたら、頭が冴えてもう眠れず、仕方なく午前3時半にひとり無人の控え室にやってきて、今日の原稿を書き始めている。


そうじゃないかなーと思いました。寝ないともちませんよ、と思うのですが
毎回、朝になってみると対局前にものすごい内容のエントリーが上がってます。
単純に仕事としての重責とは違う。
梅田さん、本当に将棋が好きで、本当にその気持ちをみんなに伝えたいんだなぁ
と感じます。
ちゃんと感じますよ、ヤケドしそうなくらい。


さて。
このエントリーでは深浦王位の「シリアスさ」とそれを見る棋士仲間の目、そして
深浦王位の「努力」「根性」を理解し、同士として想う羽生棋聖の関係が
描かれています。
素直に「そうなんだぁ!」と思いました。


深浦王位が「努力の人」という印象は抱いていました。この本をパラっとめくった
ことがあります。

プロへの道

プロへの道


しかし私に一番印象付けたのは、他でもない、梅田さんの

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

 のちに深浦さんは飲み会の席で、若手棋士たちに向かってこう問うたことがある。
「でもさあ、みんな思わないんですか。羽生さんと殴り合いの喧嘩をしたらどうだろうって。ぼくは、喧嘩したら勝つと思うよ。君はどう?勝てると思うでしょ」
 後輩たちに向けて深浦さんはこんなことを言った。「喧嘩したら勝つ」という言葉に驚いた私が、その言葉の真意を尋ねると、
「勝てるものが何かある、人間としてどこか勝てるものがあれば(羽生さんだって)全然怖いことないじゃないか、そういう気持ちが大切だと思って。だって、なんか、嫌じゃないですか。負けっぱなしって、すべてにおいて。みんな、羽生さんとやるときは、負けると思ってやってるんですかね? それじゃダメですよね。将棋っていうのは対等なもので、けっしてキャリアとかに左右されるものではない。そんな気構えがないと戦えないですよ」


ああ!深浦挑戦者は全然羽生棋聖を畏れてないんだ、と思いました。


かつて或る奨励会員が特別対局室から出て来た羽生三冠を見て、
エレベータ前まで吹き飛ばされそうな強烈なオーラを感じた、
という話を聞きました。
私もそのとき思いました。確かに羽生三冠は将棋において神がかってる
かもしれないけど、そんなふうに見てたら、
たぶん対局は無理なんじゃないかな、と。


深浦挑戦者のそんな印象に加えて、羽生棋聖がどうな感情?を抱いているのか
このエントリーで垣間見た気がしました。
なるほど、それで「相思相愛」ですかw 
んー、でもこの言葉にはやはり過剰反応しますかね。



(2)二手目△8四歩問題と将棋の進化の物語

 まもなく始まる棋聖戦第一局のオープニング直後を楽しむための補助線を一つ用意したいと思う。


いや、もう、これを読んでいたのは開始直前でした(汗)。
twitterには「振り駒だよ」と報せ。
一応、音読するようなスピードで必死に読みましたが、素人には難しいというか、
スっと理解できる内容ではありませんでした。


ただこの補助線のお陰で、後手深浦挑戦者の手とそれを受ける先手、
羽生棋聖の手にワクワク感が高まったのは事実です♪


ちなみに昨年のことにしか触れられてませんでしたが、一昨年の観戦記では
こんなことが書かれています。

(2)羽生挑戦者「秘策」に誘導か


(中略)


 羽生挑戦者は▲7六歩と角道をあける。カメラのフラッシュがいっせいにたかれる。佐藤棋聖は少考して△8四歩。


あっ、今日は矢倉になるのかあ、と思った。


しかし羽生挑戦者は、▲6八銀で矢倉にするのではなく▲2六歩と飛車先を突いた。「矢倉にはしませんよ。角換わりの将棋にしましょう」


最初の3手には、そういう意味がこもっている。かくして今日は、後手一手損角換わりの将棋になった。


このときは後手一手損が流行していたのですよね。
挑戦者が新しい将棋を試してみたい、棋聖、付き合え!というスタンスは
一昨年と同じですねw
今回の観戦記はこのあと「矢倉は指されなくなる?」という問題について
書かれていますが。


後手一手損って…その後一年弱で急激に数が減ったんですよね?
試したけど、やっぱり一手損みたい、という雰囲気なのでしょうか。
だとしたら、やはりこの勝負の結果は今後を左右するものになってくるのかも??

 「二手目8四歩問題は、振飛車党や、居飛車党でも二手目に△3四歩と突く横歩取り・一手損中心の人には、それほど関係がありません。2手目が△8四歩のとき、先手には▲2六歩からの角換わりと▲6八銀からの矢倉という選択肢があるわけですが


(略)


だから、先手の有力な選択肢の一つである角換わりに、明快に先手必勝との結論が出てしまうと、お互いの棋士が合理的な選択をする限り、後手は2手目に△8四歩と突けないし、もし突いたとしても、先手は矢倉は目指さなくなってしまうのです。その結果を「定跡の進歩」と見ることも一面では可能ですが、そのぶん将棋の可能性が狭まってしまうことは否定できません。昔の棋士は、そういう意味では必ずしも合理的な選択をするとは限らなかったのですね。いまは「得意戦法」というフィールドを持つ棋士が少なくなりました。長年矢倉を指し続けてきた棋士であっても、かなりの人が角換わりに宗旨換えすることでしょう。2手目△8四歩党にとって、角換わり同型はずっと以前から悩みのタネでしたが、その傾向は年々強まっています。だからこそ、竜王戦という大きな舞台で、後手勝ちの結果が出たことが大きいのです。」


 と。片上がこんな話をしてくれたのが、去年の11月のことだった。


 しかしその後、渡辺は1月の羽生戦(朝日杯)と2月の佐藤康光戦(王位リーグ)で、角換わり同型の後手を持って敗れた。そしてそれ以後、「二手目△8四歩」をほぼ封印してしまったのだ(指したのは早指し戦のみ)。先ほど話題に出た、深浦相手に戦う棋聖戦挑戦者決定戦で後手番を引いた渡辺は、「二手目△8四歩」ではなく「二手目△3四歩」と指したのだった。


このエントリーは、本当になかなか噛み砕けなくて(素人がゆえに)、
いったいどんな問題なのかと、ぶっちゃけ、翌日になってからじっくり読みました。
なので当然、結果がどうだったかも分かっちゃっているし、

今回の棋聖戦でもし▲7六歩△8四歩のオープニングならば、後手棋士に角換わり対策があるに違いありません。


という渡辺竜王の期待通り、深浦挑戦者は秘策をもって指したわけですが
「敗因は分からない」ということで。


「どうなっちゃうのかな?」という関心を素人にまで抱かさせたというのは
梅田さん大成功です!
これが「将棋の進化の物語を最高峰の将棋から読み取る楽しさ」ですね?!



で。他にも「観る将棋」の楽しさがこのエントリーで挙げられています。

棋士の魅力、複雑で難解なものが明快に説明されて理解できる瞬間の快感、一局の将棋の無限の広がりを感じる興奮、一局の将棋に流れる物語や将棋の進化の物語を最高峰の将棋から読み取る楽しさ、将棋界の伝統や文化に日本の素晴らしさを思うこと……


これを読んだ瞬間「うわ!私は観る将棋ファンまっしぐらかも!」と思いましたw


もしかしたら未だに「将棋は好きじゃないかも」と思っている私が、それでも
面白い!と続けているのは、上記の中の特に
「複雑で難解なものが明快に説明されて理解できる瞬間の快感」です。


だからトッププロの複雑難解な将棋の大盤解説は大好き。


複雑でも難解でも無い将棋でも、私にとっては初めてなことばかり。
とても単純なことでも教わって理解できたときには嬉しく、それをすぐに
試してみたくなります。
試しているうちは「指す面白さ」も味わっていられることでしょう♪



(3)後手深浦の二手目は△8四歩だった! 角換わり同型へ。
このエントリーが上がったときには、棋譜中継を見ていた私はもちろん
梅田さんや渡辺竜王も?期待していた展開になっていたことは分かっていました。
しかし、一番驚いたのは梅田さんご本人でしょうね?

 深浦は棋聖戦挑戦者になった直後のインタビューで、


 「羽生さんは一日制の強さが際立っています。私は一日制のタイトル戦は初めてなので、思い切ってやってみたいです」
と答え、挑戦者に決まった直後に届いた私宛のメールでも


 「羽生さんの1日制の強さをゆっくり考えてみます。」


 とあった。深浦の今日のテーマは、羽生が圧倒的に強い一日制将棋に対する作戦として、「腰掛け銀同型での新発見、あるいは同型以外での角換わり対策」を引っ提げ、かなり長手数にわたる定跡手順をあまり考えずに指して時間をセーブすることで、一気に二日制将棋の二日目のような状況に持っていこうとしているのではないか。


(略)


 羽生としては、深浦の注文通りに、定跡手順を素早く指して、角換わり同型の最新研究の戦いに持ち時間の大半を投入するつもりであろう。


なるほど。
なるほどとしか言いようがない勢いで手が進んでいました。


前のエントリーで

 「現代将棋では、初手から、一手一手の意味付け、手順、組み合わせ、そういった対策をきちんと考えていかなければならない」「戦型と戦型がリンクし、地下鉄の相互乗り入れのようなさまざまな形を関連付けて考えるのが現代将棋」「昔の将棋では、組み上がるまでは取りあえずお茶でも飲んでゆっくりしようかという雰囲気があったが、もう今はない」


という羽生棋聖のコメントが載っていました。
「お茶でも飲んでいようか」というスピードではないことは確かですが、
このとき指されていたのは「将棋におけるオープニングの王道」のはず。
本当ならお茶でも飲みながら、のはず。
それが、一日制という中で、早く研究テーマまで持って行こうよ、という
二人の呼吸が合っていたということですね?


前から思ってたんですけど。竜王戦のときにも書いたのですけど。
こういう「新手」みたいなのは、タイトル戦で試したいものなのですね?
研究会とかでやってみてからにしたら?と思うのですが
そうじゃなくて、全力投球のタイトル戦でないと真の結論は出せないのですね?


(4)どちらがどこで研究手を放つのか。
このエントリーのときは、ちょっと疲れてました(笑)
棋譜中継にチャット解説も同時に見ていたので、もう気持ちはタイトル通り
「どちらがどこで研究手を放つのか。」です。


ものすごい速さで進んでいましたし。
こんなに忙しいのに、それでも「おやつ」は出るのか!と思いました。
そしたら案の定、羽生棋聖は40分くらいおやつを忘れていた様子だったとか。


このエントリーは、そんな観戦者の気持ちを完璧に代弁していました。



(5)昼食休憩時: 米長の目

 ただいま昼食休憩の局面。▲2二歩で後手深浦長考のまま昼食休憩に入ったところ。


 米長会長とランチを食べながら、いまの局面について話を聞いた。


 「深浦王位がこの局面に誘導したのに、ここで長考に入っている理由がよくわからない。ここは△同金と取る一手だろうと思うから、それを指して、羽生が▲3三銀か▲4五桂のどちらを指すかを見てから長考すべきではないか。羽生は素人っぽい手を指すから▲3三銀かもしれないが、私なら▲4五桂と指したいところだ。」


苦笑。


ランチしながら梅田さんに向けられた言葉なので、そのまま受け取ると
間違えますね。米長会長なら▲4五桂。そういう内容です。


羽生棋聖の「素人っぽい手」ですが、私はこれが好きです。
3手先までしか読んでない素人の手と、ものすごい読みをした羽生棋聖の手が
偶然一致することが多いんですよね。


大盤解説を聞かず、ただ羽生棋聖の将棋を何も考えずに見ていると
「将棋って簡単だな」と思います。
たぶん大盤解説を聞いたら、羽生棋聖が何を狙ってそう指したのかが分かれば
とんでもなく深いものであることが分かって ぞっ としちゃうんですが、
どんなに難しい局面でも、さらっとかわしてしまう羽生棋聖の手は
本当に美しいです。
「ああ、そうか、それでいいのか」と思ってしまうんですよね。



(6)昼食休憩時: 井上慶太の局面の考え方

梅田: 今の局面(▲2二歩の局面)の考え方を、できるだけ初心者にもわかるように教えてください。


「できるだけ初心者にもわかるように」。
梅田さん、本当は今回も5級向け・初段向け・五段向けをやりたかったみたい?
twitterに「そもそもこの局面に5級向けの解説があるのか?」と
井上八段は悩んでいる、とあったので。


分かりやすく… しろという方が無理だったのでしょうか?(笑)

梅田: このあたりでの一手の選択というのは、もう、詰みまで読まなければならないということですか。


井上: 矢倉とかでしたらね、ちょっと一手甘い手があっても、なんとなく先は長いんですよね。ある種の大局観で指せるというか。でもこの将棋の場合は、大局観というより、読みですね。計算の世界です。必死かけて、詰むか詰まへんかという局面になりやすいですよね。


梅田: 角換わりの将棋はそういう性格ということですか。


井上: この同型は、特にそうなりやすいですね。


梅田: 終盤の計算に自信のある人がこの戦型を選ぶんですね。


米長会長は
「深浦王位がこの局面に誘導したのに、ここで長考に入っている理由がよくわからない」
と仰ったようですが、この時点で、もう深浦挑戦者は詰みまで読まなくてはいけなくて
長考していたのでしょうか?
ということだけは分かりましたw



(7)未来の将棋観戦の方向性を探る実験

 今日の将棋はここまでお伝えしてきたように、午後の早い時間から「計算の世界」に突入。


 ある手を考え、詰みまで深く読んではその手を捨てたり残したり、また別の手を読み……、ということを延々と繰り返しながら、指し手を決めていく将棋になった。


前エントリーで井上八段が話していたように、本当に「計算の世界」だったようです。
振り返ってみると、昼食休憩前の▲2二歩で深浦挑戦者が長考していたのは、
みんなが今か今かと待っていた研究手のまさに直前でした。


米長会長がある意味読んでいたように(笑)羽生棋聖は3三銀とし、それに
同桂馬としたところ。


終盤の、特に一分将棋に入ってからの緊張感・緊迫感には
対局室に居ない私でも胃を吐きそうなほど将棋酔いしてしまいますが、
今回の将棋はそういう緊張感はありませんでした。


梅田さんもこの静かな戦いの描写に苦しまれたことでしょうw



ところで、このエントリーはそのあと

こういう将棋は、大盤解説をリアルタイムで鑑賞しながら観るのに、特に向いていると思う。


と続きます。
梅田さんがそのあと書いたのは、「ライブストリーミング大盤解説会」の告知。
最後のエントリーでもその半分をネットによる開かれた将棋観戦について語られる
ことになったのだけど、こういうことをリアルタイム観戦記に書いてしまうのが
梅田さんらしいなー♪ なんて思いました。


なんだか当たり前っぽいけど。そしてtwitter初め、他のチャネル?でも
告知はあったのだけど。
わざわざ梅田さんが観戦記に書かなくてもw
でも「ネットの伝道師」とも言われ、リアルタイム観戦記を通して
検討室の様子をみんなに伝えたい、と考える梅田さんだからこそ、
書かずにはいられなかったのでしょう。



(8)より多くに開かれる、リアルタイム観戦の始まり
そして終局後、最後にあがったエントリーw


このエントリーに私がウケたのは、昨日書いたので割愛w
将棋のことについてのみ感想を書きます。


中継ブログにも、感想戦の最中、梅田さんがノートを持って
対局者の声を一生懸命ひろっている姿が出ていました。
感想戦のまとめをありがとうございます (^人^)


羽生棋聖

同型の将棋で激しい変化になった。△3三同桂(今日の将棋における深浦新手)は考えていなかったけれど、指されてみれば自然な手だと思った。


深浦挑戦者

研究手△3三同桂をやってみたかった。ちょっと欲張った手だが、それをやってみたかった。


この局面、私は将棋会館で将棋塾。リアルタイムでは見逃しました。
帰り道、盤面写真を見たときには既に終盤の寄せ合いに入っていて
棋譜コメントに「え、これ、詰んでないでしょー」とか一人で勝手に
ツッコミ入れてましたw


結果的に、研究手自体が良かったのか悪かったのか、終局時点では全然
分からなかったのですね。
というか、これからの研究課題?


プロは一手の違いで戦っている、というのは一昨年の観戦記に書かれていた
ことですが、研究手そのものなのか、それ以前、またはそれ以後、
どこかで敗着もしくは打開する勝ち手があったのは確かなのだと思います。


これを「運」で片付けたら身も蓋もないしw
それ以前に、これが謎のまま終わってしまったら、後手で8四歩の未来が
暗くなってしまうわけですから、到底棋士の皆さんがこの研究を
終わらせてしまうとは思えないですよね?


個人的には、もう一回、この型で戦ってみて欲しいなー、なんて思います。



■おわりに
体調不良もあって、感想文を書くにあたって梅田さんの観戦記を
初めてプリントアウトしました。
すごい文量ですね!!
竜王戦のときのとか、きっとすごいことになるんでしょうね!


リアルじゃないと実感できないこともある、ということを発見しました。
梅田さん、本当にお疲れ様でした。