第33期朝日アマ名人戦、一日目

この感想エントリーは長くなるよw


湯河原はあいにくの曇天で、肌寒いくらいの気温。
そんな中、「ゆがわら石亭」の最上階の部屋で
朝日アマチュア名人戦は始まりました。


石亭では入館するのに身分証明が必要で(汗
玄関で運転免許証を提出。びっくり+時間的にハラハラ。


それでもぎりぎり10分前に対局室に入れました。
既に挑戦者の早咲さんは席についていて、
加藤一二三立会人、記録係も正座で名人入室を待っていました。


13:25、清水上名人が入室。


清水上さんとは何度かお話をしたこともあり、また
今回はそもそも清水上さんの防衛応援に駆けつけており、
彼の入室には私までもが背筋が伸びる感じ。
冗談にも、目を合わせるなんて出来るはずもなく。


「駒を並べてください」の言葉に、清水上さんが駒箱を開け
駒の広がるチャラっという音が響き、そのあとは
静かに、駒を置くぱちっ、ぱちっという音が聞こえました。


振り駒のあと、両対局者も目をつぶって時刻を待ち、その集中力
というのは周囲の空気をも緊迫させるほどのすさまじさで、
私などには、わずか2分くらいがとんでもなく長い時間に
感じられました。


加藤立会人の「定刻になりました」の合図で対局開始。
プロ棋戦でもよくネット中継されている光景ではあります。
先手となった清水上さんの初手、5六歩。
清水上さんがよく採用する手だそうですし、早咲挑戦者も
それは予想していたかと思いますが、私的には驚きました。


棋譜はこちらからw
http://homepage1.nifty.com/amaren/netchukei/20100529asahiama_1.html


最初の数手は両者の個性が出ていて、私には理解不能でしたが
そのあと駒組が始まりましたのでかなり長い時間対局室に居ました。
本当は二番目の目的である「検討室でプロ棋士の検討を生で聞く」
というのも楽しみにしていたのですが…


対局室というのは、部外者には居心地の良い場所なのですねぇw
川のせせらぎと鳥のさえずりが聞こえ、ほどよい緊張感に
空気も澄んで、信じ難いでしょうが、私などはリラックスしてましたw


この静かな部屋の中で、対局者の頭の中だけが熱く激しく
動いているのかと思うと、とても不思議でした。
盤の上の駒が動いて行く… 二人の魔法使いが魔法を使って
何かを作っているかのような、そんな印象です。
・・・ったく、これだから素人は!w


とは言え、まったく将棋を見ていなかったわけじゃないですよw
清水上名人が飛車先の歩を堂々と取らせたのに、早咲挑戦者が
飛車を引いてから歩でふたをしたのには驚きました。
早咲挑戦者も、さすがに「え?」という表情を見せ。


戦いが始まってからは、私にはさっぱり分からない将棋になりました。
ただ居心地が良い、というだけで対局室に居たものの、
▲6八金と上がった場面では「これって上がらされたのかなぁ?」と
想像するも理解できず、ついに検討室へ下りる決心を。


約2時間対局室に居ました(笑)


さて。念願の「検討室」に入ってみると♪
加藤九段とアマチュア強豪が盤を挟んで激しく検討されてました。
あ・・・本当はあんなに激しいんだ? リラックスできる場所じゃ
ないよね、やっぱりw と痛感w


加藤九段の検討には近付けないよ、と予告されていたのですが
場所が良かったのとギャラリーがとても少なかったのとで
すぐ近くで拝聴することができました。
まったく分からなかった将棋も、検討を聞くと「なるほど!」。


以前より、検討室ではプロ棋士はかなり好き勝手な検討を
しているらしい…と想像していました。
それがどれくらいなのかと興味津々でしたが、
予想を超えて、ものすごく面白かったです。「好き勝手」という
表現は正しくないですね、きっと。


プロに対して、まして加藤九段に対してでは失礼かと思いますが
「なんでそんなところまで読めるんですか!」という純粋な驚き。
あんなに読めたら、本当に面白いでしょうね!
しかも「3パターンくらい、十数手先まで」も目の当たりにしました。
たぶんネットのコメント欄には書けないようなことをいっぱい
喋ってるんだろうな、という予想も的中。思わず笑ってしまうような
とんでもない発言も聞けました。
ブログと言えども、やはり書けませんw


一局目は早咲挑戦者が白星。アマ強豪曰く、清水上さんの良さが
出せていない将棋だったとか。
加藤九段曰く…は、朝日新聞、将棋連盟関係の記事をご覧ください。
って、載るか知らないのですがw


結局、一日目に清水上さんとは挨拶することもできず。
しかし後になって知ったことですが…
会場では朝日新聞社の方はじめ、関係者の方々に
温かく、とても親切にして頂きました。なんでも
清水上さんが「一人で心細いだろうからよろしく」と
声をかけてくださっていたのだとか。
そうとも知らず、みなさんのご厚意に甘え、無邪気に
楽しんでいた自分が恥ずかしいです(赤


黒星がひとつでも付くと不安は不安なのでしょうが
一局だけではまだまだ決着の行方は分からず。私的には何も心配なく
二日目に胸躍らせながら、対局旅館をあとにしましたw



加藤九段とアマ強豪が検討していた盤。写真は投了局面。