無知の無謀なる挑戦〜道場篇〜

無知って本当に最強ですね! 自分でびっくりしちゃいますね!
良い子は真似しないでね!


4/11(日)職団戦の日、私は将棋塾の先輩が佐藤九段の指導を受けるのを
見学していました。
しかし佐藤九段は3人並んだプロ棋士の中央に座っていた上、
先輩の背後に立ってしまうと佐藤九段に影を落としてしまうという具合で
私は遠くから背伸びをしながら見ないといけない状態でした。


先輩の対局をずっと見てはいたのですが、やはりすぐ目の前でやってる
他の棋士による指導対局というのも、自然と目に入ってしまいます。
そちらはあまりどういう進行かは見ていなかったのですが…


あるとき、その目の前の先生が、生徒の玉頭に歩をパチっ。
生徒、フリーズ。 私も思わず ブッ 氵(●ε●)


歩は生徒の金に挟まれていて、
右金でもよし、左金でもよし、もちろん玉でも良し。ようは捨て駒
だけど… これ、何で取ったらいいの?


生徒、フリーズしたまま長考。私もついニヤニヤ。どうすんのよ?w


結局右の金で取ったところ、先生の桂馬がぴょんと跳んで
「なるほど、そういうことか」とそのときは納得いたしました。


それにしても、その金・玉に囲まれた歩の有り様は私の目に鮮烈で
いったいあれは何だったのか?! 囲いが弱いことを咎めてるのか?!



そんな記憶が新しい今日4/20。道場は恐ろしいほどにガラガラ。
ふと見ると、あのときの玉頭歩打ちの先生が掲示物をパラパラ。
あ!これは是非、聞いてみたい! と思い、畏れ多くも
「すみません先生、話しかけていいですか?」


あの玉頭の歩打ちは何だったんでしょうかね? と、先生
近くの駒を盤の上に出して「どうぞ、全部並べてみてください」
「いや、あの、部分図しか覚えてないんですけど(汗」


「ああ、これですね。あのときは私の玉がここに居て、
 そっちは玉の後ろに桂馬がありましたね」 お、覚えてるんかい…
「あ、いいえ、もう桂馬が居なくなったあとです」
「はい、その局面で歩打ちね。上手がよく使う手です」
「え?そうなんですか?」


「これはどれで取ってもいいんです」
「あのときは右の金で取ったら、先生の桂馬が跳びました」
「そう、もし左の金で取ったら左が弱くなるので9筋に角を打つつもりでした」
 お、覚えてるんかい…(汗


「つまりこの歩で打診してるわけです」
「え、そうだったんですか?」
「相手の出方次第でこっちの手を決めようというものです」


という感じで、打診について詳しく教えていただきました。


「なるほど。こういう手があるんですね」
「これは私と同じくらいの技術がないとやってはいけません(笑)」
「『私と同じくらいの技術』なんてあるわけありません(笑)」


「それとは少し違うけど、捨て駒というのは…(以下略)
 … というわけで、これ、一番駒の利きの強いところに歩を打ってください」
「ここ、ですか?」
「そう。そうするとどうですか?どの駒で取っても(守り駒の)どれかは
 はがれるでしょう?」
「うわー!これはすごい!」


そうして詰め将棋の極意から盤の見方から、本当の筋の良い手とは何かまで
延々、講義して頂きました。
途中、さすがにこんなに教わっちゃ、お金要るんじゃないの?と気付いたんですが
もう遅い、って感じですね。
先生もお金を取ろうとして教えてる、という雰囲気じゃなかったんですが、
道場の人の視線を気にしました(激汗


あまりに沢山のことを教えて頂いちゃったので、無知の馬鹿とはいえさすがの私も
恐縮至極。ありがとうございました、と頭を下げると
「私はこうやって道場で指導しています。ほら」


貼り紙が・・・(くらくらくら…


「あ、この紙に写ってる子、今、あそこで指してる女の子。
 彼女はこの前、プロの女流棋士二人に勝って…」
「竹俣くれないちゃんですか?!」
べにちゃんです」
「あw」
「彼女はもの覚えが良くて、応用力がすごくある。そういう力が強くなります」
「あ、あはは、はい…(苦笑」


「あなた棋力は?初段くらいでやってるの?」
「いや!すみません、棋力とか。。やっと四枚落ちになったところです!」
「職団戦には出てた?」
「いいえ、応援で。NECの応援に行ってました」
「NECと言えば…(以下、こわすぎて略)」


ピクピク  氵●□=


やばい。私、すごい人になに聞いちゃってるんだろ!!
なに「話しかけていいですか?」だよ!!
敷居ってものを意識しろよ! 自分はぺーぺーだという自覚を持てよ!!
あ、、、ありえない、いきなり指導を求めるなんて!!


というわけで。やってしまいました。本当に、無知ほど強いものはありません。
かなりの時間を割いて教わってしまいました。
結果、NHK5時から放送の名人戦第二局一日目のテレビに
間に合わなかったのですが、それ以上の収穫・・・
いや!収穫にするかどうかは、これからの自分次第!
あんな大胆なことをしでかしておいて、モノにしないでどうする!
という心構えで、この経験を活かしたいと思っております。


もちろん将棋の技の方ですよ!また他の師匠に指導を求めよう、
なんて思ってませんよ!