投了
一晩考えている間に、昨日の竜王挑戦者トーナメントに関して
ものすごい量のブログが上がっているので(笑)
ここは素人らしさを十二分に発揮しようと思いますw
(本音を言うと、素人が書けるしろものじゃないと思います)
挑戦者トーナメント三番勝負のうち、最初の二番で
既にものすごい熱戦でした(たぶん)。竜王挑戦行くぜ!
という決意が両者とても強いのでしょうが、素人からすると
竜王戦以前に、この一勝絶対に勝つ!みたいなものを感じました。
あ、いつもそうなのでしょうねw
昨日、帰りの電車の中で頭を駆け巡ったのは「投了」について。
そもそも「投了」ってなんだ? 将棋の勝敗ってなんだ?
確かMacのゲームに、もうそれ以上続けても勝ち目がないとき
英語で「あなたに次の手はありません」みたいなウィザードが
開くものがありました。こりゃ楽でいいわ、と思った記憶が
あります。
「投了」って、こういう終わり方のことなんだろうな…
■無心で指すのは無理。だって人間だもんw
王位戦六番勝負の大盤解説に行ったとき、解説者が
「もしかして、自分、劣勢?と思うときがとても苦しい。
ボナンザなんかは1秒間に何万手も計算しているらしいけど
計算中に不安に襲われることがない。羨ましい」
と仰ってました。
棋士は盤に向かうとき、極めて冷静に、と臨むことでしょう。
開始のときとか、深呼吸されていますね。
対局中も、本当はすごく震えているんじゃないかと想像します。
私は手を読むのもパニックになりそうでイヤだけど、あれだけの
長時間、緊張感に耐えるのもムリ!って感じです。
■大盤解説の様子(素人目)
昨日の大盤解説は早めに行きました。案の定、立ち見が出るほど。
女性もほかに5〜6名いらっしゃいました。
「あれ?あなたはもしかして囲碁・将棋ジャーナルの聞き手さんでは?」
と思われる方が前の席に座っていたのですが、さすがに声はかけられないw
違ったらごめんなさい。
会社を出る前に例の如く、javaの棋譜再現を早送りで見たのですが
59▲飛 〜64△飛 飛車の往復とか、何じゃこりゃ??で
私の思考回路は完全に止まった状態で大盤解説場に入りました。
そして中盤?の「7六」における歩と銀のやり取りとか、いったい
これは何をしているのか??
「次の一手」は羽生さんの 114手目6五桂 が答え。
でも、もう何でもアリなんじゃないか、と思いました。こんな私も
「6五桂」は思いついたんですよ。進歩ですかねw
でも中央の角が素敵♪なんてあり得ない妄想を抱いたので、
今回「次の一手」は挑戦なしw
■うわさの羽生マジック?
大盤解説が始まったときには「先手優勢」と教わりました。
私のような無知は、解説者の説明を鵜呑みです。説明を受けると
木村一基棋士の玉はすごい堅められていて、いかにも強そうでした。
羽生棋士が苦しんでいる、という情報もあったりして、たぶんそれは
事実だったんだと思います。
でも解説の橋本棋士は
「盤面をみると先手勝ちでしょうが、あの後手のところに
『羽生』って書いてあるだけで、先手が勝ちと言えなくなります」
と笑っていました。
事実・・・
羽生棋士の118手目 角 が打たれたとき(たぶん)くらいから
橋本棋士が「あれ?」と言い始め、「おかしいなぁ」を連発。
羽生棋士の逆転でしょうか?大盤解説中に「おかしいなぁ?」を
聞く機会が多いような気がします(笑)
その後、140△ 6五銀 あたりから、あんなに堅かった木村棋士の
守りがどんどん崩されて行って、橋本棋士が
「あれ? どうしてこうなっちゃうの?」
「うそぉ。これで羽生さんが勝ったらショックだなぁ」
情報がどんどん入ってきました。すごい速さで手が進んでいるようです。
「うーん。ここまで来ると、負けとは言いませんが、先手不利ですね」
「(持ち駒が)桂と歩だけじゃ、これは受けきれないでしょう」
「あれー。どうしてこうなったんだろう?何がいけなかったんですか?」
そしてとうとう、投了も近いかと思われるような時間に橋本棋士が
「すみません、最初から検討していいですか? どこで間違った?」
と、なんと大盤をさらに戻してしまったんですねーw
時間も時間だし、対局は終盤もいいとこだし、いつもだったら
えー。。勘弁してよぉ。
と言ってたところでしょうが、昨晩は笑ってしまいました。
あ、ここにも科学者が一人♪
■「プロはどこで勝敗がつくか分からない」
まさにそういう感じでした。検討し直しながら見てみると、木村棋士が
優勢と見えた段階で、セオリー通りに打っていれば局面は違ったのではないか、
とのこと。羽生さんの守りはガラガラでしたし、当然木村棋士は攻めて
行ったのだと思います。まぁ私のは解説者の言葉鵜呑みですけどw
(自分でも見えるようになれるといいなぁ)
「もうまもなく投了でしょうね」
橋本棋士がそう発言し始めてから、実戦は30分以上続きました。
新しい棋譜が届くたび「まだ指してますね」。
電車の時間なのか、勝負ありと見切ったのか、鬼嫁が怖いのかw
退場していく人が出てきました。囲碁・将棋ジャーナル聞き手さん似も
途中で退場されました。
将棋のことは全然分からないから、という理由もありますが、私は
とても退場する気になれなかったです。
■申し訳ありません、やっと本題ですw
私はこの新しい情報がいつまでも続くのを見ながら思い返していました。
NHK
「プロフェッショナル 仕事の流儀
ライバルスペシャル最強の二人、宿命の対決
名人戦 森内俊之 VS 羽生善治」
この中で「羽生さんは最近、投了が早くなったと聞きますが?」という
質問がありました。途中、羽生さんが何と答えたか覚えていませんが、
「あ、自分が負けるな、と思った時点でもう負けるんです。
そう思っただけで、本当は勝つ手筋があるのに見えなくなるというか」
そういった内容のことを仰っていたのです。
今年、羽生さんはキテる、と聞きます。将棋のことを知らない者が
憶測で書いてはいけないのかもしれませんが、今年、羽生さんは
長時間戦や逆転勝ちが多いですよね?
キテるのは、もしかして「途中で投げない」からじゃないかと
思ったのです。昨晩も、守りは必ずしも堅くなかったし、
「羽生さんって書いてなければ後手は負け」だったのです。
ところが木村棋士の超堅い守りがどんどん崩れていきます。
橋本棋士が「これで羽生さんが勝ったら、今までにない大逆転」と。
でも橋本棋士は全然喜んでる?感じではなく、むしろ
「恐ろしい」と。「羽生さん、怖いよね」と。
■投了って、なに?
きっちり王手がキマってる盤面というのは見ない気がします。
ぶっちゃけ、王位戦第二局はなぜ投了なのか、まだ分かってませんw
Macのゲームみたいに、もう勝つ手筋が無いと思ったときに
敗者が「負けました」と言うのが将棋らしいです。
もちろん将棋に負けるんでしょうね。でもね、棋士たちが
あんなに悔しそうに「負けました」って言うのは、たぶん
自分の限界が分かったからだと思うのです(生意気ですみませんー)
羽生さんがNHKの番組の中で語ったように、自分が負けと思ったら
負けなのでしょう。勝つ手筋があったとしても、それ以上の
戦意がもう無いのでしょう。
将棋の分かる人には、昨晩の木村棋士に勝つ手筋が残っている
かどうかが分かるんでしょうね。でも素人の私には分かりません。
分からないから、木村棋士の投了しない姿勢が
自分との戦いに感じて、とても怖かったです。限界まで諦めない…
そしたら私も椅子から立ち上がれませんでした。
だって、羽生棋士だってさっきまで不利だったはずなのに
逆転してるんですよ? 諦められるでしょうか?
そんなことをずっと考えていました。
ボナンザは羨ましい。きっと計算結果が出なかったら、あっさり
「投了」するんでしょうね。だって人間じゃないんだもんw
そう考えると、将棋って残酷なゲームなのかもしれませんね…
■将棋を通して学ぶことは多い
なーんてチャチなことは言いませんよw
将棋に限りませんw どんなことでも真剣・一生懸命・まっこう勝負
したら、そこから学ぶことは多いと思います。私は昨日、
木村棋士からこの「真剣」さの極みを教わったと思っています。
私には真似できない、自分自身との戦いを見せつけられたと思います。
あなたは全然弱くなかった。
でも勝負の世界は勝負の世界。パリに行くのは羽生棋士です。
■蛇足 羽生さんの大局観
昨日大盤解説中、たぶん羽生さんが逆転し始めたころ、感じたこと。
羽生棋士は私たちとは違う次元で将棋を見ているんじゃないかな。。
例えると、私は地上で地球を見てる(二次元)。
プロ棋士たちは宇宙から地球を見てる(三次元、空間)。
だとしたら羽生棋士は、地上の私や宇宙の棋士たちが入った立体物を
手のひらにのせて見てる。あるいはそういう絵のページの本を
開いてる。 羽生棋士はきっと異次元から見てます(何