渡辺竜王大盤解説がなぜ面白かったか

「何が面白かったんだろう?」と自分に問うのが好きですが、
考えてみた結果、プロを相手にそれは失礼にも程がある!
という結果が出てしまいました・・・
でも書きます。お許しください。


9/5(金)私が将棋会館に着いたときには既に大盤解説は始っていて、
「羽生さんが安い物を注文するから、本当はフカヒレとか食べたいのに
 遠慮しちゃうんですよ」という話題で会場は笑いの渦に包まれていました。


こういう雑談系?が他にもあって、
1)海外対局は立会人として行くと楽しいだろう。対局者は
  楽しんでいる余裕なんか無いよ
2)長野県の善光寺の「お戒壇巡り」、一度目に行ったときは
  鍵に触れて、その三ヶ月後に竜王戦を制したのだけど、
  二回目に行ったら触れなかった。いいことが無い。
など、会場を沸かせていました。


信州出身の私には、お戒壇巡りで「二回目に鍵に触れない」というのが
かなりウケました。なぜなら鍵の場所って、変わらないのです。
一度触ると場所を覚えるので、「二回目に触れなかった」という例を
他に聞いたことが無かったのですw混んでいて手が届かなかったのかな?


そういう雑談系も、もちろん面白くて笑ったのですが、私にとって
新鮮だったのは、解説中の検討です。


今までも大盤解説では、局面ごとに複数の手をやってみせてくれたの
ですが、今回はなんか特別多かった気がします。3パターン目くらいに
なると目が回り(◎_◎) 、実戦の配置を忘れそう(いや、忘れた)。
そんなに沢山、手筋が見えるんですか?まさに無限の広がりですね。。


と思っていたら、会場から「こういう手は?」と声があがります。
すると竜王、即答。「それはこうなってこうなって、無しでしょ?」
ぅわ。。示してくれた手以上に読んでいるんだ? 印象としては
「読む」とかいう以前にダメな手は脊髄反射で却下してるみたいでした。


ところが熊倉棋士が「これはどうですか?」と駒を置いたとき
「ん?」
これももう、脊髄反射してるとしか思えないような反応でした。
「無いですか?」
「分からない。分からないけど…あなどれない」


試してみたら「これはアリ」ということになりました。
実戦は渡辺竜王が読んでいた方に手が進んだのですが。


検討の手が多かったせいか「これは無い」とか「これはなんか
淋しいよね、もっと強く攻めたいですね」とか、熊倉棋士の手に
「え?それを狙ってたの?じゃ、ちょっと待った」とか。
え、「待った」って(笑)
ああ、棋士はこんなふうに考えているのかぁ…と、本当に楽しめました。


NHK囲碁将棋ジャーナル」でも不思議な将棋だった、と解説されて
ましたが、大盤解説、渡辺竜王も「おかしいなぁ」を連発。
木村棋士の6九角に対し、「後手優勢」という情報が入りました。
「どうして優勢なんだろう?」「これは誤算?」「これじゃ詰まない」
この検討中のつぶやき?が、また私には新鮮で、梅田さんじゃないけど
科学者が何かを研究してるみたいでした。


木村棋士「受け」の名人なんだとか?控え室でもみんな、木村棋士
駒を動かしただけで「さすが受け士(師?)」と言ってみた、という
ネタも披露されました。そして熊倉棋士が駒を動かした瞬間、竜王
すかさず「さすが受け士」。ぃや、控え室の再現してみなくていいです(爆)
でも、その「囲碁将棋ジャーナル」でも「受け士」が話題になったので
思わず笑っちゃいました。


んー。でも、本当のところは、渡辺竜王のお人柄なんでしょうね♪