佐藤九段の衝撃の一言

今さらですが、王座戦第一局、渡辺竜王の代わりに急きょ
大盤解説を行った佐藤九段。確か前日は対局だったんじゃないかな?
大盤解説は日経本社屋のホールで、何百人と人を集めた大イベントでした。


そのときのことは「北アルプスの少女の将棋漬け」に書いたのですが
http://d.hatena.ne.jp/green_summer/20090904/oobankaisetsu
私はとっても衝撃を受けたことを書いていません。なのでホント
今さらですが書きます。


王座戦、挑戦者の山崎七段は初タイトル戦だったのでしたっけ?
そんな話題から、上田女流二段が佐藤九段に
「初タイトル戦のときはどうでしたか?緊張しましたか?」と
質問をされたのです。すると


「タイトル戦は初めてだったので全然勝手が分かりませんでしたね。
 記録係もやったことがありませんでしたし〜」


つまりいきなり挑戦者で「タイトル戦」というものに臨まれたわけですが
このとき私の脳裏をよぎったのは、梅田さんが昨年、棋聖戦第一局観戦記を
書かれたときの補足ブログです。

(略)対局を終えた翌朝、皆で高島屋をマイクロバスで出発する直前に、旅館の玄関脇のテーブルで佐藤さんとコーヒーを飲んでいたとき、


(略)


 対局室の中でのおそろしい緊迫感のなかで、僕が強く思ったのは、記録係の田嶋尉三段(奨励会)の立派な姿だった。
 記録、秒読みの仕事を完璧にこなし、しかも一度も正座を崩さない。じっと盤面を見つめて両対局者と一緒に、考え続けていた。
 それで、佐藤さんとコーヒーを飲んでいた傍らにいた田嶋くんに向かって、僕はこう言った。
 「もう少し時間があったら、あなたのことを書きたかったんだけど、力尽きてしまって。でも記録係って、本当に大変な仕事ですね。」
 そうしたら、田嶋くんが僕に何か返事をする前に、間髪入れず、佐藤さんが真顔でこう言った。
 「修業ですから。あんなこともできないようでは、その先にプロとしてやっていくことはできませんから。プロの仕事はもっともっと大変ですから」
 佐藤棋聖は、硬派の厳しい人なのだ、と改めて思ったのだった。


http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20080612/p1


佐藤九段!記録係やったことないんじゃん!!


もちろん「タイトル戦で」という意味でしょうが、いや、驚きました。
確かに、記録係すらやったことも無いのにいきなり対局者としてタイトル戦に
臨む方がよほど大変でしょう。羽生四冠もどっちが上座か分からなかった、なんて
エピソードがあるみたいですし。でも、ほんとに「硬派で厳しい」ですよ。


修行は重ねておいた方が楽です。私は登山をやってましたから。
普段の訓練なしにいきなり山に行っても、バテるだけで楽しくないのを知ってます。
体力を付けておけば、景色や植物を歩きながら鑑賞できるくらいの余裕が
持てますからね☆
そういう意味では、佐藤九段の言葉には愛を感じるのですけど。


それにしても「記録係やったことない」は衝撃的でした。。